兎夢のつれづれ日記

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zoom RSS 『街場の現代思想』

<<   作成日時 : 2017/03/18 22:50   >>

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『街場の現代思想』 内田 樹 文春文庫
「街場」って何? 街になっている所? 不思議に想ったら読んでみよう。

世の中のいろんな事を論じている本といえばいいだろうか。
話題は、ころころと変わる。

例えば、企業の能力主義と評価について

「適正な勤務考課による、完全能力主義社会」というのは完全な「地獄」だ。
 だって、そこでは、君の給与が安いことについても、身分が低いことについても、お
よそ査定について、どんな「言い訳」も成り立たないんだから。
 給与が安いのは、端的に「能力が低い」ということの記号であって、それ以上でも以
下でもない。
 分かっただろう。
 どうして、世間のすべてのサラリーマンが「自分の能力は不当に低く査定されてい
る」という不満を持っていながら、それでもなお完全な能力主義社会の到来を望んでい
ないのか、その理由が。
 勤務考課が適正に行われていないことから、彼らはトータルでは、勤務考課が適正で
ある場合よりも大きな利益を引き出しているからだ。
 勤務考課がデタラメだからこそ、彼らは「自分の能力は、いま査定されているよりも
っとずっと高いのだ」という甘い幻想の中に浸っていられる。そして、まさしく、「自
分の能力は適正に査定されておらず、自分の給与はほんらい支払われるべき給与よりは
るかに安い」と信じられるからこそ、彼はその「安い給与」に我慢していられるのだ。
 人間とはそういう生き物なのだ。
 そういう、哀しく、そしてけっこう「小狡い」生き物なのだ。
 君は自分の給料が「不当に安い」と思っている。
 そういうふうに考えるのは生存戦略上は正しい。
 だって、そうでも思わなきゃ、君はその「安い給料」に耐えることができないからね。
 今の時給が君の労働に対する「適正な対価」であると知ったら、君の自己愛もプライ
ドも将来の夢も、何もかもがあとかたもなく四散してしまうだろう。

何が適正なのか、どういう基準が適正なのか、基準がかわれば、適正の度合いも変わる。

より適正な評価をしているとは言っても、その基準が明確でなければ、適正な評価はできないし、ある部門での評価と別の部門での評価はかならずしも同じではない。ミッションが違えば基準も変わる。

働いている職場の評価に納得いかず、周りに相談してもその評価が変わりそうもなければ、別の所へ行くしかない。しかし、別の所へ行っても、期待する評価をしてくれるとは限らない。

いずれにせよ、周りをよく観察して、自分の評価基準が、周りが取っている基準とどれだけズレているのか、認識すれば、少しは理解できるのではなかろうか。

さて、世の中、デジタルばやりである。「デジタル=電子データ」か「実世界に対するコンピュータやネットワークの中の世界」を意味していると思うが、内田氏は、こんなことを言っている。

 デジタル・コミュニケーション(定量可能、分割可能な知識単位を交換するシステム
をとりあえず、そう呼称する)には致命的な難点があるからである。
 それは「自分が知っているもの」しか「注文」できない、ということである。

 一例をあげると、今年から私たちの大学では紙のシラバス(開講される全科目の授業
概要が書かれた電話帳のような書物)の配布を止めて、CD−ROMを配布して、自宅
のパソコンで読み出せるようにした。するとどうなったか。学生たちはシラバスを読む
のを止めてしまったのである。その結果、口コミで授業についての情報が飛び交い、そ
の(根拠のあやしい)伝聞情報に基づいて科目履修が選択されるという「紙シラバス導
入以前」の「原始時代」に戻ってしまった。
 どうしてこんなことが起きたかというと、CD−ROMには一覧性がないからである。
パソコンでは「ぱらぱらっと斜め読みして、面白そうなものをチェック」ということが
できないのである。数千に及ぶ開講科目をパソコン画面でスクロールしながらシーケン
シャルに読むというようなことをする学生はいない。これまでそれらしきことができた
のはシラバスが紙だったからなのである。本は「斜め読み」や「飛ばし読み」ができる。
CD−ROMではそれができない。
 この例があきらかにするように、デジタル・コミュニケーションは「あらかじめ検索
するキーワードが分かっている情報」の検索には有利だが、「自分が何を検索している
のか分からない」人間にとってはほとんど使い物にならない。
 だが、高等教育においていちばんたいせつなのは、学生が「すでに知っている知識」
を量的に拡大することではなく、学生に「そんなものがこの世に存在することさえ知ら
なかったような学術的知見やスキル」に不意にできわす場を保証するということなので
ある。

デジタルの世界の検索や一覧性についての見解であるが、大学のシラバスに限ったものだけではない。

モノを買うときに欲しいものをネットで検索して買うことが、だんだん増えてきている。

目的のモノが何かわかっているモノを買うにはネットは検索しやすくて、さらに、安く売っている所も簡単に比べられてとても便利である。

しかし、何か新しいモノ、新鮮なモノを欲しいと思った時には、ネットの検索は不向きである。

最近のネットのページはレコメンドの広告枠があって、そこにはいつもの変わり映えのしないモノが表示されていて、購買意欲につながらない。

レコメンド・エンジンが、過剰に適用してしまっていて、以前検索したものを相変わらず表示し続けているのだ。
私にはもう不要な情報なのに...。

 珍しいものを探そうと思うときは、実店舗へ行く。雑誌を適当にパラパラめくる。店内をぶらぶらと眺め回しながら歩き回る。など、次々と目に入るものから、なんとなく気になるものに目が行き、足が向く。

大量の文章の中から、たった一言の言葉が興味を引いたり、沢山の写真や図の中からふと目にしたものを手に取る。

 大量に購入されているものから選択するとか、多くの人が組み合わせて買っているモノを同じような組み合わせで買う。こういうことが、世の中のカテゴライズされた集団を増やしており、それぞれの個性を失わせていくように思える。

 いろいろな人や、考え方があるから世の中は面白く、発展もするのだろう。

 多様性を失う時、進化を失い、ちょっとした環境バランスのくずれが全滅に至る。






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