チェンジ・リーダーの条件

『はじめて読むドラッカー (マネジメント編)チェンジ・リーダーの条件―みずから変化をつくりだせ!』 P・F・ドラッカー ダイヤモンド社
 先般あるテレビ番組を見ていたら、ユニクロの会社のファースト・リテイリングを経営する柳井会長が「ドラッカーは私の為に本を書いてくれたようなものだ」と言っていて、映像の背景に映っている書棚にたくさんの本がおかれていた。社内にも読めと言って配ったみたいなことを言っていた。

 本書の編訳者あとがきに「日本で発行された第一巻「自己実現編」は、ただちにベストセラーとなった。出版社によれば、刊行して数日後には、地方ブランドからナショナルブランドへ、やがては世界ブランドへと急成長中の社員1000人強のアパレル企業から大部の注文があったという。」と書かれているが、ファースト・リテイリングのことだと思う。2000年頃は1000人強だった従業員も5倍以上に増え、海外ブランドの買収によって連結では11000人の企業に成長している。フリースの流行が下火になったり社長交代の逆行もあったりしているが、このドラッカーの書いた戦略を実現しているという意味でドラッカーは凄いし、それを実現する仕組みを1代で作り上げた柳井会長も凄いと思う。

 さて、本書はリーダーのマネジメントについて書かれている。従来のマネジメントの考え方から新しい考え方へと企業のありかたが変わってきており、それに伴ってマネジメントの考え方が変わったと言っている。前半は途切れ途切れに読んでいたので、あまり確たる印象は残っていないので、後半に書いてある起業家精神のマネジメントを引用してみたい。

起業家がとるべき戦略
 1)総力戦略:市場の支配を目指す
 2)ゲリラ戦略:①創造的模倣戦略、②柔道戦略
 3)ニッチ戦略:①関所戦略、②専門技術戦略、③専門市場戦略
 4)顧客創造戦略:①効用戦略、②価格戦略、③事情戦略
これらの四つの戦略はいづれか一つを選ぶわけではなく、二つ、三つを組み合わせて一つの戦略とすることができる。また、同じ戦略を、ゲリラ戦略あるいはニッチ戦略としてとらえることができる。それぞれに特徴があって合致するイノベーション、合致しないイノベーションがある。それぞれが、企業家に対し明確な行動を要求する。それぞれに限界がありリスクがある。

「4)顧客創造戦略②価格戦略」からちょっとだけ引用してみたい。
多少なりとも頭を使えば、誰でも同じ戦略を考えるのではないか。理論経済学の
父デイヴィッド・リカードは、「利益は、賢さの違いからではなく、愚かさの違いから生れる」と
言った。まさに起業家は、自らが賢いからではなく、ほかの者が何も考えないから成果をあげる。
わかりきったことであるがゆえに、成果をあげる。
 それではなぜ、これらの例が示すように、顧客が何を買うかを考える者は必ず勝てるにもかかわら
ず、それが稀にしか見られないのか。競って考えるということをしないのは、なぜか。
 理由の一つは、経済学とその価値論にある。たしかにあらゆる経済学が、顧客は、製品ではなく製
品が提供するものを購入するという。ところがそのあと、経済学は、製品の価格以外のこと、すなわ
ち顧客が製品やサービスの所有や占有のために支払う価格以外のことについては、いっさい言及しな
い。製品が顧客に提供するものについては、二度と触れない。
・・略・・
 正しい言い方は、「顧客が製品に対して支払うものは、われわれにYドルをもたらさなければなら
ない。しかし、顧客がどれだけ支払うかは顧客次第である。製品が顧客のためにできること次第であ
る。顧客の事情に合うもの次第である。顧客が価値とするもの次第である」でなければならない。単
なる価格を超えたものとしての価値が必要である。価値の概念が必要である。
 読者の多くは、「それはマーケティングの初歩にすぎない」と言うかもしれない。そのとおりであ
る。マーケティングの初歩以外の何ものでもない。顧客にとっての効用、顧客にとっての価格、顧客
にとっての事情、顧客にとっての価値からスタートすることは、マーケティングのすべてである。四
〇年間もマーケティングが説かれ、教えられ、信奉されながら、それを実行する者があまりに少ない
理由は、私にも説明できない。
 しかし、起業家戦略の基礎としてマーケティングを行う者だけが、市場におけるリーダーシップを、
ただちに、しかもほとんどリスクなしに手に入れているという事実は残る。


 少々長くなったが、ドラッカーの言いたいことがよく現れていると思うので、引用してみた。
初歩であっても疎かにすべきではない、初歩を実行するのが難しいからこそ、そこにチャンスが巡ってくるということかと思う。小生の好きな囲碁の世界でも、プロは、日頃持ち歩いている囲碁の本は、難しい本ではなく、比較的簡単(プロにとってだと思うが)な詰め碁の本だという。簡単なものであってもそれが、身に染み付くくらいやってこそ、ものになるということかと思う。






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    Excerpt: 『イノベーターの条件~社会の絆をいかに創造するか (はじめて読むドラッカー【社会編】)』 P・F・ドラッカー ダイヤモンド社  10月に読んだ「チェンジ・リーダーの条件」の続きだ。 Weblog: 兎夢のつれづれ日記 racked: 2009-11-23 21:53
  • プロフェッショナルの条件

    Excerpt: 『プロフェッショナルの条件~いかに成果をあげ、成長するか(はじめて読むドラッカー (自己実現編))~』 P.F.ドラッカー ダイヤモンド社  昨年「チェンジ・リーダーの条件」「イノベーターの条件」を.. Weblog: 兎夢のつれづれ日記 racked: 2010-01-09 10:42