『学ぶ意欲の心理学』

『学ぶ意欲の心理学』 市川 伸一 PHP新書
 子供が勉強や好きなことに打ち込む。会社員が仕事に取り組むなど何かをやろうとする場合、人が何故それをする気持ちになるのか?人にそれをさせたいときにどうすればそうできるのか?そんな疑問の解決のヒントになる本である。

 第1章は「動機づけの心理学を展望する」ということで、動機を測定するときの志向を6つに分類している。

     大
重要性 ↑充実志向  訓練志向  実用志向
     ↓関係志向  自尊志向  報酬志向
     小 ←           →大 
          学習の功利性

これらのどれを中心にして動機づけされているのかは、それぞれ人により、やる内容によって替わっている。勤勉なのは、報酬が多いからなのか、充実しているからなのかそれらの全てが満たされるなら、それは最もいいことであろうが、そんなことはめったにない。

 第2章、第3章は、少々学問的な話なので取っ付きにくい。第4章は、どうやって動機づけするかの方法論になっている。
まず「第1ステップ」は報酬志向、自尊志向、関係志向に結びつけて意識づける。
「報酬志向」は文字通り、達成したら報酬をもらえるようにする。自分にご褒美をだすのでもいい。子供なら、スタンプをもらう、達成シールをもらうだけでも意欲につながる。
「自尊志向」は、競争心とか優越感を利用して動機をつける方法である。
「関係志向」は、仲間と楽しく仕事をしたいとか勉強したいという他者との親和的関係に引き込まれてやる気が出てくる。

「第2ステップ」は充実志向、訓練志向、実用志向を重視した時の考え方であるという。
「充実志向」の基本は知的好奇心、理解欲求、向上心など。ただ学習しているだけでなく、何か形のあるものを作り上げていくというような活動にすると楽しくなる。
「訓練志向」は一種の向上心であるが、重要なのはやっていることそれ自体が上達するだけでなく、他の場面でも通用するような一般的な能力の向上につながることだという。数学をやると、論理的な思考の向上につながり、仕事や生活の中でその力が生かせる。
「実用志向」は、文字どおりで、習ったことが何かの役に立つというのが目に見えやすい形にするのが大原則。例えば英語を学ぶときは、英語ができれば、外国の人とコミュニケーションができる。道具として学ぶということである。
 学習するのは、基礎から積み上げていくだけではない。スポーツ(著者はテニスを例示している)を学ぶには基礎から始めると面白くなる前に「つまらない」「やる気がでない」でやめてしまうことが多い。中学の部活はこれに近いという。しかし、大学のサークルや社会人向けのスクールではこうはしない。テニスなら、テニスは面白いと思ってもらわなければ、スクールに通う
生徒がいなくなってしまうから、テニスは面白い、もっと強くなりたいと思ってもらうようにしないと長く続けてもらえない。少しずつ強くなっていくのが目に見えてわかると人はもっと強くなりたいという欲がでてくる。そうすると今度は『必要感をもって基礎を学ぶ。それを私は基礎に降りていく学びと呼んでいます』と著者はいう。

さて、「第3ステップ」は、今までの志向を組み合わせてより強化していくという話や、さらに、これらを超越して使命感を持って実行するという話である。
超越していくというのは、『「なりたい自己」と「なれる自己」を広げる』ということだという。「なりたい」という思いからいろいろやっていく事とこれをやっていれば「なれる」という現在やっていることの延長線上のものである。

 夢を描き、それに向かって一歩一歩進めていくのもこういう超越した志向を生み出すものだろう。

 ある囲碁サロンで、子供たちに、最初は基礎はどうでもいいから沢山打つ、打って打って、打ちまくる。勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。勝てば嬉しいからまたやる。負ければ悔しいから次に挽回しようとがんばる。沢山やるうちにどんどん強くなっていく。囲碁は、ハンディが明確で一石づつ増減させてハンディを増やしたり減らしたりできるから、強くなればハンディの石が少なくなるので、目に見える。そしてある程度強くなると今度は、もっと強くなりたいと思う。そんな時に基礎に降りていく学びとして、詰碁や布石を覚える。そうすると更に強くなる。という教え方をしている。実に本書にあるような学び方である。このサロンでは、子供でなくても大人でも同じ方法でやっていて、大人でも有効な方法だという。










ハーバーマス理論の変換 批判理論のパラダイム的基礎
梓出版社
横田 榮一

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