『愛は脳を活性化する』

『愛は脳を活性化する』 松本 元 岩波科学ライブラリー (42)
愛は脳が生み出す感情であるが、その愛は逆に脳を活性化するという題に興味を引いた。

愛と脳の関係というよりも、脳の仕組みについて書かれた本である。

脳が、どんなコンピュータになっているのかから、始まるのだが、脳の働きをコンピュータに置き換える、つまり、脳のようなコンピュータの開発の話が2章にある。

コンピュータの歴史、電子コンピュータの始まりは、戦中の米国に始まる。
最初に計算しようとしたのは、弾道計算だ。初速と角度、重量などのパラメータを与えて、発射台から発射された弾丸(ミサイル)が、どこに落下するかを計算し、特定の距離に落下させるためには、角度をどうすればいいか?発射のための火薬をどのくらいいれればいいのかを計算している。今や、パソコンやスマホでもできる計算を当時の一畳分もあるような、真空管コンピュータで計算していた。

そのころから、いまも基本的に変わっていないのは、コンピュータはプログラムで動くということだ。プログラミングされた通りに動作するということだ。しかし、ここに脳型コンピュータという研究によって、あらかじめプログラムされていない判断をコンピュータにさせることができるようになってきた。

脳型コンピュータの特徴
 脳型コンピュータの特徴としては、アルゴリズムの自動獲得ができること、柔らかい
情報処理ができること、不測の事態や危機管理など実世界対応が可能なこと、階層構造
性によって大規模問題に対処できること、超並列性により高速演算が行えることなどが
あげられる。また、これを実現するための素子を基本的に一種類用意するだけで、そこ
で担うべきアルゴリズムを自動獲得してゆくことができる点も特徴的だし、さらに、メ
モリベースアーキテクチャであるために、情報処理システム全体を常時稼働させる必要
がなく、検索のために情報インデックスを付け、それによって選択されるメモリ部だけ
を活性化(稼働)させるので、大規模でもきわめて低エネルギー消費のコンピュータとし
て実現できる、などの長所をもっている。これらの特徴は、現在のコンピュータがはか
らずもきわめて不得意、あるいは技術的課題が高いと考えている情報処理、またはコン
ピュータの構成上の技術をクリアしている。

脳は、外部から与えられた入力によって、自然に物事を学習し、学習することによって、さらに判断するようになる。そして、その学習の課程において、心地よい状態とよくない状態というのがあり、心地よさを求める方向に行動を促していく。

この行動を促す、意欲について著者は次のように記している。

 心は知・情・意からなる、と言われる。ここまで述べたようなことから、われわれは
情を受け入れ(価値を認めて)、意が向上し(脳の活性が上がって)、知が働く(脳が働く)
生物であることがわかる。すなわち、情がマスター(主人)で、知はスレーブ(従僕)であ
る。脳は意欲で働くのである。特にわれわれは、人から受け入れられ、人からわかって
もらうことで意欲があがり、知が働くように作られている。
 優れたバイオリニストを数多く育てられたことで知られる鈴木慎一氏は、優れたバイ
オリニストを育てる方法として次のように述べられている(鈴木慎一著『愛に生きる』、講談
社、1966年)。すなわち、バイオリンを習いたいといってきた子供たちに、最初からバ
イオリンをもたせることはしない。まずはその親に、一曲弾けるようになるまで指導す
るのだそうだ。この間、子供には家庭でバイオリンのレコードを聞かせるのである。そ
うして親が弾けるようになってくると、子供にとってはバイオリンのある環境が自然な
ものとなる。そしてそのうちに「自分もバイオリンを習いたい」という意欲が自然と湧
いてくる。そうしたときに、はじめてバイオリンをもたせるのだそうだ。
 普通の子供は、自分からバイオリンをやりたいとはなかなか思わないものである。一
般的には、「親に言われて」ということが多いだろう。そうした子供に無理やりバイオ
リンを持たせても、決して上達しない。自分から弾きたいという気持ちにさせること、
意欲を持たせることが、熟達への第一歩だというのである。鈴木氏の話は、脳がある目
的に価値を認め、意欲をもつことによって学習性を高めるという脳の特性とよく合致し
ている。

意欲を持たせるのは、なかなか難しい。何かの達成感を得られるか、少しずつでも目標に近づいていることが感じられるか、相手に感謝されたり、相手が喜んでくれるか。

先日、NHKで将棋棋士の羽生さんが、人工知能につながった、ソフトバンクのPepper君とゲームをしている状況を放送していた。何度やってもPepper君は羽生氏に勝てないのであるが、最初はPepper君は負けると悔しそうにしているのであるが、そのうちに、負けると嬉しそうな反応を示すようになっていったという。何を学習したのか?

じつは、Pepper君は、その勝負に勝ったか負けたかではなく、周りを取り巻く観客に喜んでもらえるということを学習してしまったというのだ。自分がゲームに負けても、周りの人たちが喜んでくれるのなら、こうするのが正しいのだと理解したのではないかという。

人工知能は、このように、あることを学習させようとしていても、別のことを学んでしまうことがある。これが、人間におきないとは言えない。何度も何度もあることを言われ続けると、洗脳されるという。しかも、若い脳であれば若いほど、その可能性は高いだろう。子供の脳は、生まれたときから3歳までに、どんどん造りかえられていくという。3歳になるまでに、その後に何を学習するのが心地いいのかを学んでいく。
3歳までの人や外部環境との関係性が、その後の成長にかなりかかわっているのではないかと考えられる。
昔から言われているように
 三つ子の魂百まで
なのだ。






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