『未来を味方にする技術』

『未来を味方にする技術 ~これからのビジネスを創るITの基礎の基礎~』 斎藤 昌義 技術評論社
最近の技術動向についての解説本。

最近と言っても、2017年1月の発行なので、もう1年以上前の内容になる。
ITの最先端を行っている人にとっては、こんなの既に知っているという内容なのかもしれないが、IT関連の動向の網羅性としては、いい線をいっていると思われる。

また将来の方向感としては、本書に書かれたことが、今の最先端になり、実用化の段階を踏みあげていると言ってもいいだろう。


 たとえば、工場で使われているロボットは、「どの部品を、どのような順番で、どの位置に取
り付けるか」といった作業手順を人間がプログラムとして教え込み、その手順を確実にこなしま
す。プログラムした手順の効率の善し悪しは人間が評価し、改善の余地が見つかれば人間が改善
策を考えて、プログラムを書き直します。そして、それをロボットに実行させ、検証します。こ
れを繰り返すことで、ロボットによる作業の効率や品質を向上させてゆきます。
 しかし、人工知能が組み込まれたロボットは、基本的な作業手順を人間が教え込み、効率や品
質の目標値を教えれば、あとはロボット自身が試行錯誤を繰り返しながら効率や品質を目標値に
近づけようと動作を改善してゆきます。数時間もすれば、ベテラン作業員と変わらない動作がで
きるようになります。
 これまでのロボットのように、人間が決めた手順を確実にこなせるようにすることを「自動化」
といいます。一方、自らが状況を把握し、どうすればいいかを学習して能力を高め、より高度な
行動ができるようになることを「自律化」といいます。人工知能は、そんな「自律化」を実現す
る手段でもあるのです。

この自律化は、工場の中で動くロボットのみならず、研究は、自働車の自動運転やドローンの自律飛行にまですすんでいます。
 従来型のものでは、コンピュータの中に地図を持っていて、その地図のどこに自分がいるのかをGPSによって把握しながら、さらに周りに地図に書かれていない人、物などの障害物を判断してそれらに衝突しないように走行したり飛行していくことがテーマになっている。

人工知能が発達してくると、人間の仕事がこうしたロボットに置き換わっていって、人間の仕事が無くなってしまうのではないのか?と言われるが、こうしたロボットなどを造る仕事は今までになかった仕事であり、これらのロボットを監視・制御する仕事も新たに生まれる仕事である。人間はより高度な仕事ができるように訓練していけば仕事が無くなることは、考えにくい。

 では、「人間にしかできない仕事」とは、どのような仕事なのでしょう。
 「日本の労働人口の49%が人工知能やロボットなどで代替可能に」

 野村総研が2016年末、「2030年の日本に備える」をテーマに、このようなレポート
を発表しています。2013年、イギリスで同様の論文を発表した英オックスフォード大学の
マイケル・A・オズボーン准教授との共同研究で、日本でも同様の結果となったことが示されま
した。
 このレポートから、どのような能力が人工知能に置き換えられ、あるいは置き換えられないか
を考えると、次のようなことになりそうです。

・置き換えられる能力:代替される職業技能や経験の蓄積に依存し、パターン化しやすく、定型的で、
 特定の領域を超えない能力
・置き換えられない能力:感性、協調性、創造性、好奇心、問題発見力など、非定型的で、機械を何
 にどう使うかを決められない能力

 機械にできることが増えれば、人間の果たす役割が変わるのは当然です。たとえば、IBM
のWatsonは、専門医が診断できなかった難病を10分ほどで診断し、患者の命を救いました。
しかし、そんな患者に向き合い、言葉を交わし、治療をおこなうのは、人間の医師にしかできま
せん。病気の原因を探るのはWatsonを使って徹底して効率化し、人間にしかできないホス
ピタリティや施術は人間に任せ、結果として多くの人を救うことができれば、すばらしいことで
す。

病気の診察であれば、人工知能の最先端として画像診断をさせている。レントゲンや、胃カメラなどの画像データの中から腫瘍やガンの部位の映像を大量に集めて学習させて、該当箇所を見つけるような支援システムである。

 大量に画像データ集められて、どこに病気の場所があるのかを正しく判断させた結果があれば、それを人工知能に学習させれば、人間よりも正確に、常に一定以上の品質で発見させることができるようになってきた。
 課題は、学習させるための画像情報をいかに沢山集めるかである。
 人間であれば、少数の画像データを見ただけでも、覚えられるのに、人工知能は全体の特徴を自動的に捉えさせるには、大量の情報が必要になってしまうのである。人間の医師でも経験の豊富な医師と医師免許をとったばかりの経験の浅い人間では、判断の正確さがことなる。
経験豊富な医師でも体調が悪いとか疲労が溜まっていれば判断の質が落ちてしまうものだ。

この医療画像診断は、大量にデータを集めてパターン化できることを人間の仕事から解放してあげることで人間はより高度な仕事ができるひとつの例である。

タクシーの配車システムを実現したUberの意味は、「優れた」あるいは「突出した」という意味があると言う。

突出したことを成す人のことをUberistというそうだ。

このUberistになるための原則が3つあるという。

第1の原則:課題を実感する
 …… 
第2の原則:トレンドの風を読む
 ……
第3の原則:試行錯誤する
 ……

説明を省いてしまったが、要約すると次のようになる。

現場に出向いて、現物触れ、現実を見て、課題を実感して、物事の本質を知る。

世の中の「ニーズの変化」を知ることと、「いまできる最適な手立て」を見過ごさないことで
そのトレンドの風を読む。

変化の兆しが見えてきたら、試行錯誤を積み重ねていくことで、突出したものを手に入れる
ことができる。世の中の動きがどんどん加速して行っている今だからこそより大切になってくる
ものと思われる。


最後に、「新規事業」を創るという命題が企業トップから託された組織がよく新しいICTについて話を聞かせてくれと言ってくる。

新規事業を創るといいながら、新規事業計画を作る。計画を作ることが目的化してしまっていることがある。

 計画には、承認者が納得できる合理性が必要です。そのために、自分たちの経験、既存の顧客
の事例、巷の話題など、わかりやすい言葉や数字をつなぎ合わせ、相手に無用なストレスを与えず、
すんなりと納得してくれそうな計画を作ろうとします。わかりやすいことやロジックが優先され、
それにそぐわない事実は切り捨てられてしまいます。その結果、自分たちのできること、既存顧
客といったこれまでの事業資産に都合がいい市場を創造し、その市場でこちらに都合がいいよう
に振る舞ってくれる顧客を創造し、その市場や顧客に都合の良いデータとその解釈を与えること
で「いかにもうまくいきそう事業計画」を創造してしまうのです。
 そもそも、新規事業とは新たな市場や顧客の開拓なわけですから、「既知」や「既存」がその
ままでは使えません。それにもかかわらず、既知や既存の延長でしか考えられないとすれば、そ
れはもはや「新規事業」とは呼べません。ならば、そんなことに無駄な時間を費やすよりは、既
存事業をさらに改善して利益率を高めたり、顧客の裾野を増やしたりといった取り組みに時間を
費やすほうがはるかに有益です。
 ……
 決して、数字的裏付けやKPIの設定を軽んじているわけではありません。しかし、そもそ
も新しい事業ですから。市場もわからなければ、前提となる数字もありません。だから、こうい
う具体的な現場ニーズから発想し、試行錯誤を繰り返しながら改善を重ねてゆくしか方法がない
のです。ある程度ビジネスが軌道に乗り始めて、やっと数字が予測できるようになれば、KPI
も設定できるでしょう。
 ただ、このような「新規事業」を既存事業の計画と同じフォーマットで描かれていなければ承
認しようとしない意思決定プロセスであれば、いつまでたっても「新規事業」は生まれません。

こうした新規事業の戦略ができたら、次に作戦であるビジネスプロセスを作る。
そして、最後に戦術としての使い方や見栄えを作り込んでいくという、3段階を経て新しいビジネスができると著者は言っている。

本書の図表
http://netcommerce.co.jp/mirai/






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