『人工知能 ~その到達点と未来~』

『人工知能 ~その到達点と未来~』 中島 秀之,丸山 宏 小学館
人工知能の発展は、年々加速しているような感じがするが、まだまだ解決できていないことも多く、人間ができてもコンピュータでは処理できない問題も多い。

比較的最近の昨年の12月に発行された本書にも、これから解決していかなければならない問題が書かれている。

例えば、フレーム問題

 もともとは、AI研究者のマッカーシーJohn McCarthy(1927-2011)らが発
見した問題で、「ある行為を記述しようとしたとき、その行為によって変化するこ
とがらと変化しないことがらをすべて明示的に記述するのは、記述量と推論量が爆
発(指数関数的に増加)して、現実的に扱えない」というものである。

例えば、テーブルの上に積み木が二つ重ねておいてあるとして

 この積み木をロボットハンドなどで持ち上げて移動す
ることを考えるときに、以下のような知識が必要である。
【積み木の公理】
(1)上にある積み木(以後Aと記す)を移動しても下にあ
る積み木(以後Bと記す)は動かない。
(2)ただし、AとBが接着されていればBも動く
(3)Bを移動するとAも動く。
(4)ただしBを高速に横にずらすとAはその場で下に落ちる(だるま落とし)。
(5)積み木の位置がかわってもその色はかわらない。
(6)積み木の位置がかわってもその重さはかわらない。
実際にはまだまだあると思うが、このあたりでやめておく。
 (5)や(6)のようなことを書かねばならないというのは意外であろう。人間ならいわ
れなくてもそう考えるところだが、AIではそうはいかないため、いちいち書く必
要があるのだ。
 初期のフレーム問題は上記のように記述量や、それに応じた推論量が爆発すると
いう問題であった。しかし、フレーム問題が研究されるにしたがって、より本質的
なことが明らかになった。すなわち、記述や推論の量が問題なのではなく、実は完
全な記述や正しい推論それ自体が不可能(たとえ計算できても正しい解ではない)
だということが明らかになったのである。現在ではフレーム問題とはこちらの意味
で使われている。

上の積み木の例では、(3)と(4)の間にいろんな状況が発生しうるということだ。

積み木崩しで遊んだことがある人ならだれでも、それを思い浮かべることができるだろう。
積み木崩しは下にあるBを高速に動かしてAを真下に落とすゲームだが、高速とはどのくらいの早さか。ゆっくり動かすとAも一緒に動く。高速よりちょっとだけ遅いと、AはBに釣られてBが動いた方に少し動く。もう少し遅いとBを追いかけるように動く。どのくらいの速さでこのAの動きの変化が現われるのかを調べるのは、AとBの間の摩擦力の計算になるのだが、周辺環境の湿度や、A、Bの表面の濡れ具合によっても摩擦は変わるので、現実問題としては、簡単には計算できない。物理学としては、摩擦係数というものを固定して計算させるので、答えがでるのだが、この摩擦係数を計算できないのである。

それで、沢山実験をして、統計的に答えをだそうとか、実験結果からディープラーニングで答えをだすなどとやるわけだが、この現実の問題としては、解を精度よく出すだけの実験回数を行えないということになる。

数年前にビッグデータという言葉がはやった(第三次人工知能ブームの直前)。
ビッグデータに限らず、データ分析によって、物事を判断していこうという動きが活発になってきている。

 シンシナティ大学のジェームズ・エバンスJames R. Evans(1950-)によれば、
対象とするデータがビッグであるかどうかにかかわらず、データ分析にはその目的
に応じて三つの局面がある。説明的(descriptive)データ分析、予測的(predictive)デ
ータ分析、指示的(prescriptive)データ分析である。
 説明的データ分析とは、過去になにがあったか説明ができれば意思決定ができる
場合に用いられる。 …… 略 ……  説明的データ分析に典型
的に使われる手法は、グラフなどの可視化、クラスタリング、
アソシエーション分析などである。
 予測的データ分析とは、すでに得られている情報から将来の動きを予測する、あ
るいは将来でなくても、いま、みえていない情報を推測するためのデータ分析であ
る。 …… 略 ……
 予測的データ分析に用いられるのは、広くは統計的機械学習
と呼ばれる手法であり、回帰分析や判別木(入力をいくつかのカテゴリに
判別する手法の一つ)などの簡素なものから。ディープラーニング
を使ったものまでを含む。
 指示的データ分析とは、「なにをやったらよいか」を知るためのデータ分析である。
予測ができたとしても、かならずしも意思決定が簡単でない場合がある。たとえば、
打ち手の候補、あるいは打ち手の組み合わせの候補が多すぎて、どれが最適かが簡単に
はわからない場合などである。広くは最適化とよばれる分野
であり、数理計画法あるいはオペレーションズ・リサーチとよばれる手法のほかに、
マーケティングにおけるA/Bテスティングや、品質管理におけるタグチメソッド、
実験計画法などがある。機械学習の1分野である強化学習も最適化の手法とみるこ
とができる。

問題や課題の内容、解決したい目的によって、手法を選ばないと、遠回りしてしまう。
最終目的や目標を明確において、さらにそこに至るたもの課題を整理して、それを解決する手法として何を使うのかと考えていく。課題の種類が、上の3つの分類にあうなら、それぞれの手法を使って考えるのがよい。

画像認識は、タグ付けされた画像データが大量に用意できるならば、そのデータを使って、ディープラーニングで解決させることが一般に広まってきた。

画像認識によって防犯カメラの情報から、特定の人物を探すこともできるようになり、犯罪者の発見のニュースでは、よく防犯カメラの情報から見つけたと報道されている。

リアルタイムに見つけようとすると

 人物認識のカメラは、たとえばショッピングモールの入口など、データセンター
から離れたところに設置されるので、多くの場合、通信量の制約がある。そのため、
カメラで撮られた映像をそのままデータセンターに送るのはむずかしい。したがっ
て、人物を認識するための処理の一部またはすべては、カメラの中(あるいはその
近く)で行われることになる。そして、その認識結果として、顧客である可能性の
ある人物とその確信度のリストだけがデータセンターに送られ、それに基づいて営
業担当者に通知が行くなどのアクションがとられる(もちろん、人間のオペレータ
が元の画像をチェックしたい場合は、その画像を送ることも可能である)。
 このような構成の情報システムは、処理の多くが監視カメラなどのネットワーク
の周辺(エッジ)で行われるので、エッジヘビーコンピューティングとよばれるこ
とがある。何百万枚、何億枚もの訓練画像を処理しなければならない深層ニューラ
ルネットワークの訓練は、あらかじめ計算能力の高いデータ
センターで行われ、訓練済みの深層ニューラルネットワークだけがカメラにダウン
ロードされ、そこで(すなわちネットワークのエッジで)認識処理が行われる。

その昔から、コンピュータ処理の能力向上とネットワークの帯域幅の拡大によって、集中処理と分散処理が5年から10年くらいで交互に切り替わってきたが、分散処理のPCサーバの発展から、クラウドサービスの集中処理が浸透してきて、これからは、またエッジで重たい処理(画像認識)をする時代に移りつつある。

そうなると、エッジの機器へディープラーニング機能の実装がどんどん増える。
低消費電力で強力なパワーを持つエッジ機器用の半導体の時代になるのだろう。






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この記事へのコメント

2019年10月12日 16:57
こんばんは。

台風は大丈夫ですか。
気をつけてくださいね。
AIの問題はいいこともありますが、悪いこともありますね。
いい進化をしてくれたらいいんですが。