『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結』

『現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結 ~リーダーになる人の仕事の進め方~』 佐々木 眞一 ダイヤモンド社
「自工程完結」がトヨタの品質向上の鍵だという。
それは、生産ラインに限らず、スタッフ部門をも巻き込んだ全社の活動だという。

たとえば、チームワークの考え方

 そしてもう一つ、チームワークとは何か、ということでした。チームワークに
は助け合いのイメージがありますが、私は違うと思いました。このタイヤ問題に
直面したとき、もし私があきらめたら、二人の技能系スタッフの努力は完全に無
駄になってしまったのです。
 後に、張富士夫・現名誉会長が講演で語っているのを聞いたことがあります。
「チームワークというのは、けっして助け合いではない。人の努力を無駄にしな
いという気持ちが大事になる」
 あれだけ頑張っているのに、自分があきらめたら彼らの努力が無駄になる。そ
う思いやることそのものがチームワークだ、と私は悟りました。
 そして不可解なことにも原因がある、とはつまり、正しいことをすれば正しい
結果が出るということ。一緒に頑張る仲間を思いやる気持ちがあるから、良い仕
事はできるということです。
 逆に言えば、正しい結果が出ていあいときは、正しいことをしていあいのです。
そして、一緒に頑張る仲間を思いやれなければ、良い仕事はできないのです。

チームワークって、そういうことなんだ。あらためて再認識した。

車の検査工程で組み上げたあと、検査工程で車体の全体に水をかけると、車室内に水が漏れる。
これを無くすことは、非常に難しいことだったという。

 水漏れにかかわる作業だけで、2000を超えるものになりました。しかし、
その作業を一つひとつ精査していったのです。
 どの工程でも、もちろん懸命に作っています。聞けば「ちゃんと作っていま
す」という声が返ってくる。しかし、問題はその「ちゃんと」というのが、どう
いう意味なのか、ということです。
 要するに、この「ちゃんと」を厳密に定義していかなければ、単なる「心が
け」にすぎない、ということなのです。科学的な裏付けに基づいた取り組みには
ならない。抜本的な解決にはつながっていかないということなのです。
 何をもってすれば「ちゃんと」やったことになるのか。水漏れにつながらない
作業になるのか。どこまで細かくやるべきなのか。それをあらためてきちんと定
義していくと、「こんなことはやっぱりできない」という声が出てきました。
 しかし聞いてみると、「こんなことはやっぱりできない」理由がちゃんとあり
ました。設備がやりにくい、設計構造上これは難しい。道具がない……。そこで、
こうした声をもとに作業を改善していきました。一つの「工程」で「完結」する
ために何が必要なのか、一つひとつ洗い出していったのです。

一人の部長が始めた小さなプロジェクトが、真剣に取り組んでいる姿から活動報告をすると工場長の興味を引き、工場全体のプロジェクトになっていったという。

工場のプロジェクトはうまく行った。

さて、スタッフ部門はどうだったか?

 工場の生産現場できわめてシビアで細かな作業の積み重ねを見てきた技術屋の
目から見ると、スタッフ部門は仕事の進め方がどうにも大ざっぱ、というのが正
直な印象でした。そしてそれは、しっかりとした「判断基準」が作られていない
からではないか、と私は感じていました。
 例えば、何かの結論を出して、上司に「こんなのは、デタラメを言っているん
だろう」と問い詰められたとき、厳密性で対抗できるだけの「判断基準」を作っ
ているかどうか。

情報をいっぱい集めて上司に報告しても、後から、あれはどうなってる?と聞かれ、さらに時間をかけて調べて、持って行っても、また別の観点の調査をさせる。何度も繰り返されるけどどこまで行っても判断してもらえない。

お客様のためになることをしようとしていたのが、いつの間にか上司のための報告になってしまっている。
上司が腹を決めて決断するためにも判断基準が必要だという。


「自工程完結」とは、いったい何なのか。それを追求していくうえで、とても参
考になったことがありました。二人の人物の仕事スタイルです。一人は、トヨタ
車体で副社長を務められたAさん、もう一人が豊田自動織機で副会長を務められ
たBさんです。
 トヨタ車体のAさんは、もともと設計技術者でした。車の内装の設計、電気配
線の設計が専門なのですが、副社長になってからも、新車が出るときには、設
計技術者との直接のコミュニケーションを欠かしませんでした。
 例えば、設計担当者がダッシュボードと呼ばれる計器盤まわりの新しい設計を
する。このとき、Aさんは直接、設計担当者を呼び出して、前のモデルと何を変
えるのか、どう変えるのか、徹底的にヒアリングするのです。
 古いパネルの設計図も持ってこさせて、新しい設計図と並べて説明させる。こ
んな機能を付けたいと思う、と設計担当者が言うと、なぜその機能を付けたいの
か、その機能を付けるために、何をどうしなければいけないのか、問い詰めてい
くのです。
 どうやりたいのか、新しい技術が必要になるのか。今までのものから、ちょっ
とだけ線を変えて見栄えが変わればOKなのか。いや、この線を変えていくには
取り付けの根本から変えていかないとうまくいかないのか、とにかく聞くのです。
 変えるということについて、設計者がどれだけしっかり考えているのか、チェ
ックするわけです。
 Aさんからは、こうしろ、ああしろ、とは言いません。どうしたくて、どう考
えるのか、その理由は何かが問われるのです。ただ単に、こんなふうにしたい、
と言うだけの設計者はガンガン否定されます。思い付きや感覚だけで、ロジック
のない設計は許されないのです。

これは、きちんとプロセスに則って仕事が進んでいるのかどうかをチェックしているという。
仕事はプロセスが大事だと。設計段階で、その変更がどのように影響するのかを見通して決定すれば、後の工程になって設計が間違っていたという後戻りが少なくなるという。

スタッフが用意している様々な報告書、今まで前任者が作っていたから作っている。

 では、本当にこのまとめシートが必要なのか。作り手側は、うすうす、こんな
ものがいるのかな、と思っていた。そこで、「このシートはいりますか?」とい
う質問をしたら、地区担当員は、「いります」と答えた、と言います。
 もらう人たちいとっては、あって当然のものなおです。だから、「いるか?」
と聞かれたら、「いる」と言う。それまでにも「いるますか?」という聞き方を
していた。そうすると「欲しい」という声が返ってきたので、やめることはなか
ったのです。
 そこで、こんな聞き方をしたのだそうです。
「これがなくなったら、すごく困りますか?」
 すると、こんな返答になりました。
「いや、あったほうが安心だけど、なくなっても困らないかな」
 聞き方ひとつで、相手の「欲しい」のニュアンスはずいぶん変わってくる、と
いうことです。要するに、使途がないのです。
 かつては、本当に必要だったのかもしれない。しかし、20年、30年と経過
して、状況もニーズも変わった。結局、なんとなく思い込みだけで業務が残っ
ていたのです。
 これがあったら便利、これはあったほうがいい、などと返されていたら、業務
改廃などなかなかできない。ホンネを引き出すうまい聞き方で、実はなくても困
らない仕事をあぶり出したのです。

業務の効率化を考えたら、不要な仕事をやめようとはいわれる。

その報告書は、本当に必要なのか?だれが参照しているのか?何に使われているのか?用途がないとか、他のもので代用できるなら
その報告書は不要だし、報告書の中のチャートで参照されないものがあるなら、そのチャートを作る必要がなくなる。

そうやって、スタッフの業務も最適化されていくし、後工程に行ってから仕事が不備で戻ってきてやり直しになることが減る。
自分の工程の中のことだけでなく、前後の工程も含めて、きちんとしたプロセスで仕事をすれば全体が最適化される。
仕事を自分の工程で完結させ、他の工程に行っても差戻しされない、それが自工程完結ということ。






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この記事へのコメント

2020年02月29日 11:08
こんにちは

トヨタの本は何冊か読んだことがります。
勉強になりますね。