『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

『【2019年ビジネス書大賞 大賞】AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 新井 紀子 東洋経済新報社
2018年に発行されて、図書館で予約して、2年待ちで手元にきた。

たまに、本やで立ち読みしながら、過ごしてきたが、今回、まとめて読めた。

とは言っても、まだ、お題の3章の途中である。返却期限が近づいているので、紹介しておく。

前半は東ロボ・プロジェクトの話。東ロボで何のことかわかる人は、この先を読む必要もないかもしれない。

「ロボットは東大入試に合格するか?」入試問題を解けるロボットの開発に挑戦したプロジェクトである。その東ロボの研究は、今のAI技術では無理となって終了している。

何故無理なのか、どこまでできたのかは、この本を読むとよくわかる。

 プロジェクトの検討を始めたとき、私を含めた関係者の中に、近い将来にAIが東大に
合格できると思う人は一人もいませんでした。それはスタートから6年を過ぎた今も同じ
です。ですから、当初は東大に合格できるAIを作れるはずがないという理由で、研究参
加に難色を示す同僚が少なくありませんでした。でも、私は東大に合格するロボットを作
りたかったのではありません。本当の目的は、AIにはどこまでのことができるようにな
って、どうしてもできないことは何かを解明することでした。そうすれば、AI時代が到
来したときに、AIに仕事を奪われないためには人間はどのような能力を持たなければな
らないかが自ずと明らかになるからです。そのために、「ロボットは東大に入れるか」を、
AIのさまざまな技術とその研究者の粋を結集させて検証しようと思いました。
 私は研究に参加してほしいと思った研究者たちを説得しました。
 「もちろん、AIが東大に合格する日はやって来ないでしょう。でも、一方で、センタ
ー入試の答案を埋めるだけで合格できる大学はたくさんあります。東ロボくんはきっと3
年でどこかの大学には合格できる。毎年偏差値は上がっていく。そのうち、優秀な高校生
が第一志望にするような有名大学にも合格するようになるでしょう。その様子を毎年公開
して、AIとは何か、AIには何ができて何ができないのかを示し、多くの人に実感して
もらいたい。AIの実像を正確に示した上で、AIと共存することになるこれからの社会
にどのように備えていく必要があるか、さまざまな立場にある人が考える材料を提供する
という意味で、東ロボくんは日本にとって是非とも必要なプロジェクトだと思うのです」
--。
 今、私がこの本を書いているのも、まったく同じ理由からです。

そうして2011年にはじまって、6年たって、2017年東ロボプロジェクトの講演にバンクーバーを訪れ、著者はYOLOに衝撃を受ける。
著者の講演は、「ロボットは大学入試に合格できるか」という講演だったそうだが、たまたま、その会場で聞いた別の講演がYOLOの講演。
当時、ワシントン大学の大学院生ジョセフ・レドモン氏の講演。
リアルタイム物体検出システム。今なら、多くの自動運転車に搭載される技術の基になる技術だ。

You Only Look Once:YOLO

一目見れば、そこに何があるかわかる。それを画像解析で、高速に実現していた。
この頃から、ディープラーニングの画像解析は、どんどん良くなってきている。
現在も進化している。

さて、話は、もう少し遡って2011年アメリカのIBM社は、ジョパディ!というクイズ番組で、人間のチャンピオンを破った。
IBMの技術者は何を考えていたのか。

 「ジョパディ!はファクトイドで解ける。AIがこれを解ければ、宣伝効果あ絶大だ」--。
その事実に気がついたIBMのプロジェクトマネジャーは極めて有能です。そして、もっと
すごかったのは、ジョパディ!を解く上で必要なデータをウェブから収集し、実際に動く
システムを組み上げ、「最も確からしい答」を2秒以内で答えるのに必要な並列計算機を
構築し、そして実際にチャンピオンを倒したことです。
 モーツアルトの問題に戻りましょう。「モーツアルトの最後の交響曲と同じ名前を持つ
惑星は何ですか?」--答をご存知ですか。もし、知らなかったら、どうしますか?
もちろん、グーグルで検索するに決まっています。

さて、あなたは、検索を、うまくできますか?

最近のグーグルは、検索キーワードがどのくらい検索されて、どのキーワードを入れた人が、どのページをクリックしたかの過去情報を集積して、このあたりが答えになりそうだと統計的に処理しているので、キーワードはそんなに多くなくても正しい答えにたどりつき易いでしょう。
しかし、コンピュータは検索のためのキーワードの抽出をうまくできるでしょうか?

IBMのコンピュータ、ワトソンは、このキーワードの抽出がうまくできるように設計され、検索されてきたページの説明文から問題文に近しい文章を探すように作られているわけである。

問題の設定の仕方が、ほぼ一つのパターンになっているので、それに合わせた解答をだす仕組みを作り上げたというわけである。

さて、AI技術の開発が進むと、ある人々の仕事は奪われるのか?

人間の歴史において、コンピュータができる前から、新しい技術が生み出されると、それまでにあった仕事が無くなってしまうことが起きている。

 先に、新しい技術の登場で、仕事が消えるのは今に始まったことではない。歴史はそれ
を繰り返してきたと申し上げました。ATMの導入で銀行の窓口業務は激減しました。写
真のデジタル化によって、街角にあったDPEの店はほとんど姿を消しました。けれども、
こうした技術で失われる仕事はとても限定されていました。しかし、AIは違います。今
後、10年から20年の間に、働く人々の半数が職を奪われるかもしれないのです。実は、こ
の予測を最初に出したのは、オックスフォードのチームではありません。MITの
「機械との競争」でもありません。私です。2010年に出版した『コンピュータが仕事
を奪う』(日本経済新聞出版社)でそう予測したのです。ところが、日本人は真に受けませ
んでした。
 ……

この本を出版して、大型の本屋さんでビジネス書の棚を探してもなく、見つけたのがSFの棚だったことが、著者を東プロに駆り立てたという。

近い将来に、必ず起きる、そのために準備をしてほしいとの思いだったという。

 1900年代から始まり、約100年かけてトヨタやパナソニックといった日本の最先
端工場でほぼ確立されたオートメーションによる変化がホワイトカラーに対しても起こる
のです。しかも、20年くらいに圧縮して、それは人類がこれまで体験したことのない変化
です。質の違いと申し上げたのは、そのような意味です。
 ……
50%のホワイトカラーが20年、いやもっと短い期間で減るというのは、途轍もないことで
す。
 私たちの日常で、大変なことが起ころうとしています。

さて、その警鐘を鳴らそうとしたプロジェクトの東ロボはどこまでできたか。

センター試験の模試で
 5教科8科目の偏差値で57.1:全国の756大学の70%で合格可能性80%以上
 得意科目
  世界史B:66.3
  数学ⅠA:57.8
  数学ⅡB:55.5
東大の2次試験の模試(2016年度 第1回東大入試プレ) 
 数学:76.2
 世界史:51.8

うまく行かないのは
 英語:50.3
 国語:49.7
で伸び悩み。
論理では解けない。意味を理解させないと答えられない問題は、難しいという

AIの技術は、データを沢山集めて、その中から意味のある解決を見出す仕組みや、動画を沢山集めて自動運転のための目と物体識別を高度化していく方向にある。
一方でAI技術は、オープン化され、技術そのものでお金を稼げるものではなくなってきている。

 マイクロソフトのOSのように、AI技術をパッケージにして大きな利益が得られるこ
とは「ない」ということを、AIの先駆者全員が認めたということに他なりません。つま
り、次世代スパコンを作って、シンギュラリティを日本から起こして、日本が再び世界経
済の覇者になるなど、ロマンや空想の域すら通り越しているということです。
 コンピュータが数学の言葉だけを使って動いている限り、予見できる未来にシンギュ
ラリティが来ることはありません。そう言うと、「夢がない」とか「ロマンがない」と批
判されることがありますけど、来ないものは来ないと言うしかありません。
 ……
 この章で詳しくご説明してきたように、AIはいくらそれが複雑になって、現状より遥
かに優れたディープラーニングによるソフトウェアが搭載されても、所詮、コンピュータ
ーに過ぎません。コンピューターは計算機ですから、できることは計算だけです。計算す
るということは、認識や事象を数式に置き換えるということです。
 つまり、「真の意味でのAI」が人間と同等の知能を得るには、私たちの脳が、意識無
意識を問わず認識していることすべて計算可能な数式に置き換えることができる、とい
うことを意味します。しかし、今のところ、数学で数式に置き換えることができるのは、
論理的に言えること、統計的に言えること、確率的に言えることの3つだけです。そして、
私たちの認識を、すべて論理、統計、確率に還元することはできません。
 脳科学が随分前に明らかにしたように、脳のシステムはある種の電気回路であることは
間違いなさそうです。電気回路であるということは、onかoffか、つまり0と1だけ
の世界に還元できることを意味します。基本的な原理は計算機と同じかもしれません。そ
れが、「真の意味でのAI」や「シンギュラリティの到来」を期待させている一面はある
と思います。けれども、原理は同じでも、脳がどのような方法で、私たちが認識している
ことを「0、1」の世界に還元しているのか。それを解明して数式に翻訳することができ
ないかぎり、「真の意味でのAI」が登場したりシンギュラリティが到来したりすること
はないのです。
 でも、シンギュラリティが到来しないことはめでたいことではありませんか。私たち人
間の出番はまだたくさんある。ということを意味するのですから。
 残る問題は、ただの計算機に過ぎないAIに代替されない人間が、今の社会の何割を占
めているかということです。次章では、それについてじっくり説明します。

シンギュラリティは、まだこない。永遠に来ないかどうかは、今のディープラーニングの延長とは、かなりギャップのある新しい何かが生み出されるかどうかだろう。カーツ・ワイルも言っている。何かが開発されてシンギュラリティがくると。

シンギュラリティは来なくても、今のAIの延長線で、人間がやらなくてもいい仕事は沢山増えていく。
そうした時に、人間がやらなければいけない仕事には何が残るのか?

そのヒントが、この本の後半にある。

==
最後に、以下は小生の私見である。(著者が言っていることではない)
ディープラーニングの、ニューラルネットワークの作りは、非常に単純化されている。
単純化されているから計算式に表すことができ、学習の調整ができたのである。
人間の脳のネットワークはもっとずっと複雑である。もっとより複雑にしたネットワークを調整しながら学習させること。
そして、YOLOで学習ができること。
YOLOでの認識ではない。学習の方を一度見るだけで学習できる。一度聞いただけで憶えられるような技術を開発する。

シンギュラリティは夢やロマンかもしれない。

それを実現するための基礎研究は必要だろう。

シンギュラリティには、ほど遠いかも知れないが、何かちょっとだけ近づいて、今より少し便利なものができるだろうから。

人間が感じている「感情」や考えている「意志」。
これが無い限り機械は機械だろう。
機械にも癖はあるが、それは感情や意志とは異なる。






ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 26

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
ナイス ナイス

この記事へのコメント

2020年07月25日 00:56
こんばんは

2年待ちなんですか。
スゴイですね。
そう言われると読みたくなりますね。