『こんな長寿に誰がした!』

『こんな長寿に誰がした!』 ひろさちや 青春新書プレイブックス
長寿は喜ばしいことであるが、健康長寿ならではのことだ。

日本の現状を、別の角度から見てみると、本当にいいことは何かが見えてくる。

老いて、子どもたちに何ができるか?
体力もないし、頭の回転も遅く、動作も不安定になって。

昔の話に、年老いた親は、棄ててしまえと王様が指示していた。
隣国から難題を突き付けられて答えれないと国を亡ぼすという。
誰も答えが出せないところで、老親を匿っていた家老が親から答えを教わって国を助けたという。

 わたしは、ここに老人の存在意義があると思います。
 老人の仕事は、若者たちに、若者が持っていない、
 --知恵--
 を教えることです。
 若い人たちは、知識はいっぱい持っています。現代的には情報というんでしょうか。ス
マホなどを使ってインターネットを利用して情報を収集する能力にかけては、ただただ敬
服するばかりです。
 若者は知識は持っているが、知恵が足りないのです。
 その知恵を教えてやれるのが老人です。

 知恵とは、知識を総合して応用していく力というのでしょうか。

 人生の学びの期間は4段階あるという

 古代インド人は、人生を四つの時期に区分しました。それを「四住期」といいます。
1 学生期……人生最初の段階は、まず教育を受ける期間です。ここで人間は、しっ
  かりとした宗教教育を受けます。
2 家住期……家長となって、職業に専念する期間です。
3 林住期……家は息子に託して、森林に隠遁します。いわゆる隠居生活です。
4 遊行期……遍歴行者となって諸国を遍歴し、托鉢のみによって生きます。

著者は、この四住期というのは、聖職者の生き方であって、庶民のものではないと言っている。庶民は、少し内容を変えないと、そのままでは適用できないと。

学生期は、学ぶこと、しかし、それは学校教育ではないという。

 わたしに言わせれば、学校教育なんてなくていいのです。
 教育において、大事なのは家庭教育です。
 ところが、現在の日本には、その家庭教育がありません。
 日本の子供たちは、人生の最初の期間である学びの期間を、そこで何も学ばずに次の
段階に突入してしまう。そこのところが大問題なんです。

さて、その学生期を終えると、家住期となり。ここはお金を得る期間なので、職業についてお金を得る必要がある。
そして、できるだけ早く引退して、次の段階に入るべきという。

 では、その次の段階は何でしょうか?
 そのネーミングを、わたしはあれこれ考えてみましたが、結局は、
 --おじいさん・おばあさんの時期--
 と呼ぶことにしました。現役(すなわち金儲け)から引退して老後の生活を送る時期で
す。
 この段階の老人--おじいさん・おばあさん--には大事な仕事があります。
 それは、前述の「おばあさん仮説」のところにあったように、老人は、それまで自分が
学んできた人生の知恵を子や孫たちに教えることです。老人が教えることができるのは、
知識ではなしに知恵ですよ。

家庭教育で欠けているのが、こうした祖父母と父母の分業による家庭教育だと著者は言う。
核家族になってしまって、3世代の交流が無くなってしまっている現在。これを取り戻す必要がある。
物理的に一緒に住むことが難しいならば、近所に住んで交流を図るとか。
遠くにいても頻繁にネットワークなどを介して交流して知恵を学ぶ機会を増やしてあげる。

さて、著者は、日本の医療の考え方についても一石を投じている。

名医の治療を受けて、それでも治らなかったら、そのときあきらめればよいのだ
 と思うでしょう。いわゆるダメもと主義(ダメでもともと。治ったら儲けもの)ですね。
 しかし、そういう考え方は危険です。いったん名医の治療を受けると、もう天命が分か
らなくなります。この名医をもってしても治らない。そんなはずはない。もっと名医がい
るに違いない。そう思って次から次へと名医をさがし始めます。そうすると、ますます苦
しくなるだけです。
 わたしは、あちこち名医を尋ね回っている大勢の癌患者を知っています。新しい治療薬
の噂を聞くと、必死になってそれを手に入れようとしています。
 彼は癌の治療のために生きているとしか思えない生き方をしています。
 --人事を尽くして天命を待つ--
 といった言葉があります。言っている意味は分かるのですが、わたしは、人事を尽くせ
ば天命が分からなくなると思います。
 現代日本の医療は、まさに人事を尽くす医療になっています。だから天命が分からな
くなり、人間はますますもがき苦しむよりほかなくなります。蟻地獄に落ちてしまったの
です。不幸なことですね。

人間が避けることができないもの、それは老・病・死である。

 老・病・死との闘いは、本質的には自己との闘いです。
 だとすれば、われわれは本当に老・病・死と闘ってよいのでしょうか?
 日本人的には、その疑問に対して「ノー」と言うべきです。「闘ってはいけない」と答
えたほうがよい。なぜなら、欧米人が(もちろん、欧米人の全員ではありません。なかに
は日本人に近い欧米人もいます)老・病・死とうまく闘えるのは、彼らが負けるために闘
い、負ける要領をよく知っているからです。
 だが、日本人は、勝つために闘ってしまうから、うまく闘えません。

著者は、兼好法師の徒然草を引用してこう言っている。
==
双六の名人は、その秘訣は、勝とうと思って打ってはいけない。負けないようにと思って
打つべきだ。
==
囲碁でも、よく互角の戦い。互角の分かれ というのが良くでてくる。
弱いところを補強して、強みを生かす。1手ずつ交互に打つのだから。一方的に強いわけでもない。
常に互角の分かれを繰り返す。

そしてプロでも失着がある。
それは、時間制限であったり、つい見過ごしたり。そこで形勢が大きく分かれる。

人生の長い道のり。負けないように生きていけば、それも一人の生き方であろう。






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