『ワーク・シフト』

『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』 リンダ・グラットン プレジデント社
リンダ・グラットンのライフ・シフトを読みたかったのだが、図書館で予約が一杯だったので、その前に書かれた本書『ワーク・シフト』を読むことにした。

読書時間がめっきり短くなって、なかなか読み進まない手ごわい本なので、まだ半分ちょっとしか読み終わってない。
返却期限も近くなってきたので、前半から紹介しておく。

第一章から
未来を形づくるのは5つの要因があるという。
見出しになっているので、5つひろってみると

[要因1]テクノロジーの進化
[要因2]グローバル化の進展
[要因3]人口構成の変化と長寿化
[要因4]社会の変化
[要因5]エネルギー・環境問題の深刻化

とある。この中で、社会の変化についてもう少し詳しくみると7つの現象が大きな意味を持つという

1 家族のあり方が変わる
2 自分を見つめ直す人が増える
3 女性の力が強くなる
4 バランス重視の生き方を選ぶ男性が増える
5 大企業や政府に対する不信感が強まる
6 幸福感が弱まる
7 余暇時間が増える

 一見すると、暗い要素が多いと感じるかもしれない。家族がばらばらになり、企業や政府に対す
る信頼が弱まり、人々の幸福感が減退するとすれば、確かに暗澹たる話だ。事実、第2部で「漫然
と迎える未来」の未来ストーリーを描き出す際には、これらの要素が多忙で孤独な日々を生み出す
大きな原因と位置づけられる。
 しかし、社会の変化の要因は、五つの要因のなかで好ましい結果をもたらす可能性が最も高い。
一人ひとりの行動と選択で結果が変わる余地が最も大きいからだ。第3部で明るい「主体的に築く
未来」の未来ストーリーを通じて示すように、一見すると暗い要素のなかに、いくつもの希望の種
を見いだせる。家族のあり方が変われば、異質なものに対する人々の寛容性が高まる。Y世代はこ
れまでよりコラボレーション重視の職場をつくり、企業の意思決定プロセスでは女性の発言力が強
まるだろう。

本書が原書で書かれたのは2011年、今から10年近く前である。
その時に、約15年後の2025年の状況を予想して描いている。
2008年にマイクロソフトのゲームでアバターが登場したことを受けて

世界のゲーム愛好家たちはアバターの外見を自分なりに変更し、オンライン上のマ
ーケットで購入した洋服を着せ、それを使って、世界中の同好の士たちとバーチャル空間でやり取
りしはじめた。最初はもっぱらオンラインゲーム界の現象だったが、次第に生活のあらゆる側面で
アバターが用いられるようになる。2025年バーチャル空間でジルと結びついている仕事仲間
たちがいちばん見慣れているのは、生身のジルではなく、ジルのアバターだ。ジルは、オンライン
ゲームをプレーするときは凝ったアバターを使っているが、仕事用のアバターはなるべく実際の自
分に近い姿にしている。
 ジルは、バーチャルオフィスで同僚たちと一緒に仕事をする日もある。同僚たちが集まって働く
オフィススペースがバーチャル空間に再現されていると考えればいい。朝、ログインし、バーチャ
ル空間を歩いてバーチャルオフィスに到着すると、ほかに誰が「出勤」しているかが一目でわかる。
部署内の会議では、アバターとテレプレゼンス・システムを使って、自宅に居ながらにしてリアル
タイムで同僚たちと話し合える。ジルはバーチャル空間で活動することに慣れている。なにしろ、
バーチャル大学の卒業生なのだ。バーチャル大学では、オンライン上で同級生と会い、バーチャル
教壇で世界中の学生に向けて講義する教員の話を聞く。2025年には、バーチャル化により、き
わめて低コストで大学教育が実現しているだろう。

昨年までは、この2025年の姿は、まだまだ先の話だとみんな思っていただろう。
しかし、今年度に入って、誰も大学に通学できないという状況になり、全ての授業をオンラインで行うということが可能になった。

2025年には、これが一般的な姿になる。
米国に行かなくても、日本に居ながらにして、米国の大学に入学して、単位、学位を取り、卒業。
そして米国の企業に就職もしてしまうという姿が見える。

著者の予想する世界は、バーチャル空間で仕事をするローハンとアモンには、生身の人間と接する機会がほとんどないという状況を描いている。

 この二人だけではない。2025年の世界では、ほかの人と直接対面して接する機会が減る。バ
ーチャルな人間関係が直接の触れ合いと同じくらい、私たちに元気を与えるようになる可能性もあ
るが、そうはならないだろうと私は思う。ほかの人と触れ合う機会が減れば、気軽な人間関係がも
たらす喜びを味わえなくなる。充実した人間関係が仕事を充実させ、充実した仕事が人生を充実さ
せるという好循環も生まれてなくなる。

本書の中ほどになるが、第6章には「自分を見つめ直す人が増える」ことについて次のように記している

 内省性が強まっていることは、私たちの本棚を見ればよくわかる。私の書斎を見渡すと、かなり
愛読した痕跡のあるゲール・シーヒィの自己啓発書『パッセージ--人生の危機』が目に飛び込ん
でくる。1976年に出版された本で、書き込みを見ると、私は1978年に読んだらしい。本棚
に並んでいる本の顔ぶれは、私と子どもたちの成長の過程を反映している。最初は赤ちゃんの育て
方の本、その次はティーンエージャーの子どもへの接し方の本、そして離婚に関する本。この後も、
私と子どもたちの人生の段階に応じて、また新しい本が加わっていくのだろう。
 このような「自分」に関する本が読まれるようになったのは、比較的最近の現象だ。昔の人は、い
まほど自己分析をしなかった。あなたの両親は、どういう本を読んでいただろうか。もしかすると、
一、二冊は、自己啓発書をもっていたかもしれない。
 しかし、あなたの祖父母は「自分」に関する本など、まったく読まな
かったのではないか。私の二人の祖母は、ビートン夫人の『家族術』はともかく、自己啓発書はも
っていなかった。自分について内省することをあまりしない世代だったのである。私は自分につい
て内省する世代の一人だ。Y世代やZ世代は、そういう傾向がいっそう強まるだろう。私たちの内
省性が強まり、自分について深く考え、自分の人生を主体的に選択するようになれば、家族生活と
職業生活の両面に関して、社会で許容される生き方の選択肢が広がる可能性が高い。


最初に上げた5つの要因により仕事のあり方が変わり、人々の考え方も変わる。
そうした中で、仕事は、バーチャル世界で実行できるものが増え、仕事の選択がますます個人にまかされて、グローバル競争にさらされる。

こうした中での仕事は、より専門性の高い仕事が要求されるようになる。
日本は少子化によって、大学への進学率は自然に高くなり、大学院への進学率も高くなっている。
これは、より専門的スキルを身につけた若者が増えるということを意味する。

専門的スキルを身につけて、企業に就職するならば、企業側としてもその専門性を生かした仕事をアサインしなければ生産性は上がらない。

専門性の低い仕事は、さらに自働化して人間が関与しなくてもできるようにする必要がある。
お店に店員がいない。飲食店にフロア係をする人がいない。ロボット化するか、セルフサービスになる。
人がサービスをするのは、高級品を扱う店舗となっていくだろう。その時のサービスは、専門的知識にたけて、人でないとできないような、今まで以上のサービスが期待される。

人々が、リアルに接して交流を行う場が少ないというのは、コロナ禍のこの1、2年で終わることはないだろう。

リモートでも仕事ができる世界というのは、もう後戻りしない世界なのである。

馬車や牛車から自動車や耕運機に変わってきたように。
ネットワークが始まったY世代(1980~1995年生まれ)、インターネットというバーチャルな世界で育ってきたZ世代(1995年以降の生まれ)は、生まれた時からあるネットワークの向うの人々とつながりながら生きている。

仕事の選択の多様化は、場所も、時間も自分で選択することになる。
そして、仕事がシフトしたら、生活もシフトする。
それがライフシフト。人生100年時代につながる。






ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 21

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

この記事へのコメント