兎夢のつれづれ日記

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zoom RSS 『進化論という考えかた』

<<   作成日時 : 2018/03/31 22:14   >>

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『進化論という考えかた』 佐倉 統 講談社現代新書
先日紹介した『「読まなくてもいい本」の読書案内』で推薦されていた本のひとつである。

進化論というとダーウィンの『種の起源』なのであるが、ダーウィン主義者のローレンツともう一人のニコ・ティンバーゲンがいるが、ニコ・ティンバーゲンは、行動の進化要因の推定を熱心に進めたという。

 動物にしばしばみられる現象に、超常刺激への過剰反応というものがある。卵を産んだ
ガンは、卵が巣から転げ落ちると元に戻そうとして自分の方に引き寄せる。だが、陶器や
プラスチックでできた特大の人工卵やテニスボールを本物の卵と並べておいておくと、人
工卵やテニスボールの方を引き寄せるのである。これは「巣から転がり出た卵型の目立つ
物体を巣に戻せ」というのが、彼らに与えられている行動プログラムだからだ。自然界に
は、テニスボール大の卵なんてない。そんなものを(人間という)ほかの生物がわざわざ
作ってガンの前に運んでくるなんて、たかだかここ数十年のことでしかない。だから、ガ
ンにはそんな現象に対処するプログラムは必要なかったのだ。
 不必要なものは進化しない。起こり得ないことに対処するような不経済は、自然選択が
許してくれない。自然界には存在しないからこそ、ガンは特大の人工卵を引き寄せるので
ある。人間も生物だから、超常刺激には弱い。脂っこい食べ物や甘すぎるお菓子など、ガ
ンにとってのテニスボールみたいなものである。偽物の卵をせっせと巣に戻そうとするガ
ンのことを、マヌケだとあざ笑うことはむずかしい。

甘いものに、すぐに手が出てしまうのは、人間の本来もっている性質なのだろうが、自然界での甘いものは、熟した果物など季節が来ないと食べられないものだった。

その季節にだけ食べるのであれば、一年間をとおしてみれば、食べれるだけ食べても問題なかったはずだが、これが一年中、いつでも手に入るとなると話が違う。節度を持って食べるということを訓練しなければ太ってしまうわけだ。

さて、「ミーム」という言葉を聞いたことがあるだろうか?以前どこかで目にしたような気がするのだが、何だったかなと思いながら読み進んだのは、こんなくだり。

 ダーウィン・アルゴリズムの本質は、変異の生成(突然変異)、変異と複製率の間の相関(適
応度)、そして変異の遺伝(自己複製)の三点セットだ。人間の文化現象もこの基準を満たし
ていると考えてダーウィン・アルゴリズムを適用したのがミーム論である。「ミーム meme」
は、ドーキンスが1976年に『利己的な遺伝子』の中で提唱した造語で、文化情報の伝
達単位のことだ。生命情報の伝達単位=遺伝子(ジーン gene)と韻を踏み、「記憶 memory」
や「模倣 mimesis」とよく似た単語として発案された。ドーキンスの言葉のセンスには脱
帽してしまう。実は彼と同じころに、よく似たアイディアが何人かの研究者から独立に提
出されていた。だが、それらの名称は無味乾燥だったり妙に難解だったりしたためにあっ
さりと忘れ去られ、今や「ミーム」だけが生き残っている。ミームというのはよいミーム
だったようだ。
 ミームは、人間の文化システムの自己複製子である。ある人の脳から別の脳へと伝達さ
れていく。音楽の一節や食事のマナーもミームだし、よく耳にすることわざもミームだ。
脳内に貯蔵されている記憶のユニットと考えてもよい。もっとも、その物質的な構成につ
いては、ほとんど不明である。


さて、ダーウィンがミミズに興味を持ち続けていたそうだが、日本にもミミズの研究をした中村方子という研究者がいるという。

 ギルバート・ホワイトからチャールズ・ダーウィンへ、そしてさらに日本の中村方子へ
と、何百年という時を経て、また地球を半周して、なお共通する問題について論じること
ができるのが、科学の強みだ。ホワイトやダーウィンの記述の中には古めかしいところも
あるかもしれないが、ミミズの活動に関する基本的な枠組みや自然観は今でも十分に通用
する。もとになっている生物学のデータが古いのであれば、それをアップデートすること
で、ホワイトやダーウィンの自然観をぼくたちが改訂していくことができる。つまり、ホ
ワイトもダーウィンも中村も、根っこを共有しているから、そこから話を展開していくこ
とができるのである。

「根っこを共有している」とは、基本となるものが共通の理論ということ。科学は基本となる理論があって、そこをベースにすべてを積み上げていく。積み上げてきた基本が変わってしまうと、新しい理論につくりかえなければいけなくなる。

かつて、ニュートン力学で積み上げてきたものから、アインシュタインの相対性理論がでてきて、ニュートン力学を超える物質とエネルギーの関係が説かれ、更に小さな領域では、量子力学が発見され、ニュートン力学では解けない物質の質量と位置の関係がわかってきた。相対性理論や量子力学によってニュートン力学の体系が変わってしまったわけではない。適用範囲が限定されたと考えたほうがよい。

また、生物の進化もベースとなる理論を越えて新たな理論が発見されることもあるだろう。それもまた楽しみである。






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