『スティーブ・ジョブズ 夢と命のメッセージ』
『スティーブ・ジョブズ 夢と命のメッセージ』 ジョージ・ビーム(編) 知的生きかた文庫
本書冒頭に
2011年11月夏、「アップル」は巨大石油企業「エクソン・モービル」を追い抜いて
株式時価総額で世界一の企業となり、業績は創業以来最高をたたき出した。
栄光の絶頂を走っていると思われた10月、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ
が突然この世を去った。
世界を変えられると信じ、時代を疾風のごとく駆け抜けた天才経営者だった。
ジョブズが亡くなってから、既に8年以上過ぎている。最後に注力していたiPhoneは今も世界トップクラスだ(1位は明け渡したが)。
PCの時代では、Windowsに敗退していたが、スマホで挽回した。
スマホがいつまで続くのかはわからない。これから5年、10年でデバイスの変化は、必ず起きるだろう、その時もアップルが勝ち続けるのかはわからない。
iPhoneの成功に慢心せずに、次のデバイスを創り出せるかがカギにになる。
そのためにも、ジョブズの言葉は注目する意味がある。アップル以外の企業がその栄光を得る可能性もあるのだ。
本書は、ジョブズの言葉と長年ジョブズを追い続けてきたジャーナリストの解説でなりたつ(太字はジョブズの言葉)。
メモを取る必要はない。
本当に大事なことなら覚えている。
(アップルに戻ったジョブズの最初の言葉)
ジョブズのアップル再建のための第一歩は”診断”から始まった。開
発製品が一つずつジョブズに説明され、製品に対する判断が下された。
その会議でメモを取ろうとした社員が目に入ったときの言葉。メモを取
るより話に集中しろということ。会社が大変なときはなおさらだ。
まじめな人ほど、細かいことにこだわって、本当に大切なことを見失
うことがある。
新入社員の頃、先輩からメモを取れ、と言われたことを思い出す。
メモを取らなくても、大事なことは覚えている。細かいことは気にしない。
これは、経営レベルの話だからだろうか?
末端の社員までそうなのでろうか?末端までそうだとしたら、素晴らしく能力のある人材だけがいるということだろうか?
製品だよ。せいℋンがダメなんだ。
今の製品にはそそられるものが全然ない。
ジョブズは市場調査をしないと言われている。ジョブズ自身がユーザ
ーとなって製品を見極めるからだ。その時は単にスペック(製品仕様)
の優劣ではなく、「そそられる」製品かどうかが重要なポイントだ。し
かし、そんな項目は標準化できない。人間の感性は標準化できないから
おもしろい。
欲しいものを作る。必要は発明の母といわれるゆえんだ。
消費者向けの製品を作るのであれば、自分がどんなものが欲しくて、それと同じものを欲しがる人がどのくらいいそうか。
自分がこんなに欲しいものが作れたなら、皆にも使ってもらいたい。
そういう製品を作れたことが消費者に魅力的に映ったことだろう。
イノベーションは研究開発費の規模とは関係ない。
アップルがMacをつくったとき、
IBMは百倍以上の費用をかけていた。
お金じゃなくて、どんな人材がいるか。
チームがどう導かれて、どれだけ本質に迫れるかだ。
お金がたくさんあって、人員も時間も十分あれば、もっといい仕事が
できるのに……。プロジェクトが失敗したとき、こう残念がる人は多い
だろう。だが、お金がなくても人員が不足していても、すごい発明や製
品は生まれてくる。ジョブズがCEOを努めていたピクサーの『トイ・
ストーリー』もそうだった。
お金がないからこそ、様々な工夫を凝らし、費用が掛からない方法を編み出し、リーズナブルの価格帯の製品ができあがる。
人は、多すぎると結論を出すのに時間がかかる。
ものが多すぎると、その関係性が複雑化して問題解決に時間がかかる。
お金が多いと、何でも買ってきて組み合わせたがるから、ノウハウが貯まらない。
潤沢すぎる資源は、災いをもたらすわけだ。
世界が少しましなのは、
アップルがあるからだ。
だから僕はここにいるんだ。
誰かがいいコンピュータを
つくらないとね。
アップルがやらないと、
誰もやらないだろう。
パソコンは大量生産された機械に過ぎない。だが、ジョブズはそこか
らワクワクする使用感や、感動を呼ぶ体験を生み出すことが重要だと
考えた。
……中略……
一方、「感動」は人それぞれで違う。同じ映画を観ても感動の度合い
は異なるし、同じ小説を読んでも解釈の仕方は十人十色だ。それに、機
械が単なる部品であるかぎり、人間の「感動」を呼ぶのは難しい。
MacやiPhoneに触れたときに、他の製品とは違う何かを見いだすはず。
その違いが、人々に感動を与える。それは工業製品かもしれないが一種の芸術なのだと思う。
だから、最高の品質、手触りのものを探し、表面加工は世界一の表面加工技術を持つ会社に発注されて生み出される。
相手が中小企業だろうと構わない。
最高のものが、より感動を与える。
消費者の手に触れ、目に入るものだから、そういった逸品の技術を組み合わせる。
だからアップルというブランドが愛されるのだろう。
創造力とは
いろんなものを結びつける力だ。
ジョブズは、まったくのゼロから素晴らしい製品をつくり上げたので
はなかった。Macの源流はゼロックスnパロアルト研究所にあったし、
iPodの基本機能は他社製の携帯音楽プレイヤーにすでに盛り込まれ
ていた。
ではジョブズの卓越性はどこにあったのか。
いろいろな技術を結びつける力だ。
パロアルト研究所が研究していた最新の入力方法である「マウス」は、
視覚的な操作性を実現したMacOSと結びついて「マッキントッシ
ュ」という革命的な製品になった。
……中略……
ジョブズは、携帯電話の機能にタッチパネルと重力センサーを結びつ
けてiPhoneへの進化の道を切り拓いた。
個々の部品は、あちこちで生み出されているかもしれない。それを最適な場所に収めて、新しい感動を呼ぶようにしていく。
これからも、何か新しいデバイスが出始めるだろう。そのデバイスに欲しい機能をどうやったら実現できるのかを、さまざまなところからアイデアをもらって新しい組み合わせをつくることができ、感動的なものになったなら、そのときは、iPhoneやスマホを代替することだろう。
本書冒頭に
2011年11月夏、「アップル」は巨大石油企業「エクソン・モービル」を追い抜いて
株式時価総額で世界一の企業となり、業績は創業以来最高をたたき出した。
栄光の絶頂を走っていると思われた10月、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ
が突然この世を去った。
世界を変えられると信じ、時代を疾風のごとく駆け抜けた天才経営者だった。
ジョブズが亡くなってから、既に8年以上過ぎている。最後に注力していたiPhoneは今も世界トップクラスだ(1位は明け渡したが)。
PCの時代では、Windowsに敗退していたが、スマホで挽回した。
スマホがいつまで続くのかはわからない。これから5年、10年でデバイスの変化は、必ず起きるだろう、その時もアップルが勝ち続けるのかはわからない。
iPhoneの成功に慢心せずに、次のデバイスを創り出せるかがカギにになる。
そのためにも、ジョブズの言葉は注目する意味がある。アップル以外の企業がその栄光を得る可能性もあるのだ。
本書は、ジョブズの言葉と長年ジョブズを追い続けてきたジャーナリストの解説でなりたつ(太字はジョブズの言葉)。
メモを取る必要はない。
本当に大事なことなら覚えている。
(アップルに戻ったジョブズの最初の言葉)
ジョブズのアップル再建のための第一歩は”診断”から始まった。開
発製品が一つずつジョブズに説明され、製品に対する判断が下された。
その会議でメモを取ろうとした社員が目に入ったときの言葉。メモを取
るより話に集中しろということ。会社が大変なときはなおさらだ。
まじめな人ほど、細かいことにこだわって、本当に大切なことを見失
うことがある。
新入社員の頃、先輩からメモを取れ、と言われたことを思い出す。
メモを取らなくても、大事なことは覚えている。細かいことは気にしない。
これは、経営レベルの話だからだろうか?
末端の社員までそうなのでろうか?末端までそうだとしたら、素晴らしく能力のある人材だけがいるということだろうか?
製品だよ。せいℋンがダメなんだ。
今の製品にはそそられるものが全然ない。
ジョブズは市場調査をしないと言われている。ジョブズ自身がユーザ
ーとなって製品を見極めるからだ。その時は単にスペック(製品仕様)
の優劣ではなく、「そそられる」製品かどうかが重要なポイントだ。し
かし、そんな項目は標準化できない。人間の感性は標準化できないから
おもしろい。
欲しいものを作る。必要は発明の母といわれるゆえんだ。
消費者向けの製品を作るのであれば、自分がどんなものが欲しくて、それと同じものを欲しがる人がどのくらいいそうか。
自分がこんなに欲しいものが作れたなら、皆にも使ってもらいたい。
そういう製品を作れたことが消費者に魅力的に映ったことだろう。
イノベーションは研究開発費の規模とは関係ない。
アップルがMacをつくったとき、
IBMは百倍以上の費用をかけていた。
お金じゃなくて、どんな人材がいるか。
チームがどう導かれて、どれだけ本質に迫れるかだ。
お金がたくさんあって、人員も時間も十分あれば、もっといい仕事が
できるのに……。プロジェクトが失敗したとき、こう残念がる人は多い
だろう。だが、お金がなくても人員が不足していても、すごい発明や製
品は生まれてくる。ジョブズがCEOを努めていたピクサーの『トイ・
ストーリー』もそうだった。
お金がないからこそ、様々な工夫を凝らし、費用が掛からない方法を編み出し、リーズナブルの価格帯の製品ができあがる。
人は、多すぎると結論を出すのに時間がかかる。
ものが多すぎると、その関係性が複雑化して問題解決に時間がかかる。
お金が多いと、何でも買ってきて組み合わせたがるから、ノウハウが貯まらない。
潤沢すぎる資源は、災いをもたらすわけだ。
世界が少しましなのは、
アップルがあるからだ。
だから僕はここにいるんだ。
誰かがいいコンピュータを
つくらないとね。
アップルがやらないと、
誰もやらないだろう。
パソコンは大量生産された機械に過ぎない。だが、ジョブズはそこか
らワクワクする使用感や、感動を呼ぶ体験を生み出すことが重要だと
考えた。
……中略……
一方、「感動」は人それぞれで違う。同じ映画を観ても感動の度合い
は異なるし、同じ小説を読んでも解釈の仕方は十人十色だ。それに、機
械が単なる部品であるかぎり、人間の「感動」を呼ぶのは難しい。
MacやiPhoneに触れたときに、他の製品とは違う何かを見いだすはず。
その違いが、人々に感動を与える。それは工業製品かもしれないが一種の芸術なのだと思う。
だから、最高の品質、手触りのものを探し、表面加工は世界一の表面加工技術を持つ会社に発注されて生み出される。
相手が中小企業だろうと構わない。
最高のものが、より感動を与える。
消費者の手に触れ、目に入るものだから、そういった逸品の技術を組み合わせる。
だからアップルというブランドが愛されるのだろう。
創造力とは
いろんなものを結びつける力だ。
ジョブズは、まったくのゼロから素晴らしい製品をつくり上げたので
はなかった。Macの源流はゼロックスnパロアルト研究所にあったし、
iPodの基本機能は他社製の携帯音楽プレイヤーにすでに盛り込まれ
ていた。
ではジョブズの卓越性はどこにあったのか。
いろいろな技術を結びつける力だ。
パロアルト研究所が研究していた最新の入力方法である「マウス」は、
視覚的な操作性を実現したMacOSと結びついて「マッキントッシ
ュ」という革命的な製品になった。
……中略……
ジョブズは、携帯電話の機能にタッチパネルと重力センサーを結びつ
けてiPhoneへの進化の道を切り拓いた。
個々の部品は、あちこちで生み出されているかもしれない。それを最適な場所に収めて、新しい感動を呼ぶようにしていく。
これからも、何か新しいデバイスが出始めるだろう。そのデバイスに欲しい機能をどうやったら実現できるのかを、さまざまなところからアイデアをもらって新しい組み合わせをつくることができ、感動的なものになったなら、そのときは、iPhoneやスマホを代替することだろう。
この記事へのコメント
ジョブスの本は興味ありますね。
読んだことないですけど。
面白そう。