『会計の世界史』

『会計の世界史 ~イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語~』 田中 靖浩 日本経済新聞出版社
どういう切っ掛けで、この本を予約したのか、よく覚えていないのだが、会社の中の誰か上の方の人が、勧めていたからかな。

会計という言葉が始まって、財務会計ができ、管理会計にすすみ、いまだ会計に数値化しきれない情報があるという歴史的出来事から会計が進化してきた会計の歴史をわかりやすく解説した本である。

14世紀、会計の基は、簿記に始まるという。

商売を行う中で、支払と売上の金額を把握していくら儲かっているのかを知るものだ。

子どもが、小遣い帖をつけて、残高がたまると嬉しいなと感じるのに似たものがある。

さて、簿記に始まったものが、会計とよべるようになってきたのが、株式会社の設立で東インド会社というのは、歴史にでてきたのをご存じの方も多いだろう。

1600年に日本に流れついたオランダ人もそうした商人だった。

 当時のオランダには、それでも沈没覚悟で東方を目指すリズカーレ船乗りがおりま
した。彼らにとって危険は自然だけではありません。オランダ船にとって、先行して
東方進出しているスペインとポルトガルは大きな脅威だったのです。実際、リーフデ
号と一緒に出港した他の船はこの2国の船にやられています。
 オランダはスペイン、ポルトガルにどうやって勝つかについて考えていました。
 この2国だけでなく、比較的仲の良いライバル、イギリスも東インド貿易に目を向
けはじめています。
 憎っくきカトリックのスペイン&ポルトガル、好敵手イギリス。
 彼らに打ち勝つべくオランダは大勝負に出ました--それが1602年「東インド
会社」の設立です。
……略……
 小さな会社が、
 もっと金をかけて安全かつ大砲を備えた強力な船をつくり、スペインとポルトガ
ルをやっつけよう。
 船を往復させるだけでなく、インドに現地拠点をつくり、そこから商売を大々的に
展開しよう。

 これらを実現するには大金を集めなければなりません。さらには大船団を組み、現
地に拠点をつくるためにはその資金を長期的に調達する必要があります。
 そのために用意された組織がオランダの「東インド会社(VOC)」です。

このVOCが7つの会社を合併して設立され、長期的に資金調達できる企業連合で、初めての株式会社だという。

資金を調達する仕組みが株式を売って調達し、株式を買った人が株主となる仕掛けができあがった。

これによって、バランスシートの右下の資本を提供する人が従来の家族・親族から仲間だったものが、株主に代わったという。

さて、ちょっと飛ばして、19世紀、鉄道会社ができると、資金を集めて、鉄道を敷き、列車を走らせる。

 地主を説得して土地を取得し、トンネルや切り通しの
工事を行い、レールや枕木そして駅舎を準備し、機関車
と客車を製造する……開業時には莫大な支出がかかりま
す。これを「支出ベース」で計上するのではなく、「数期
に分けて費用計上」すればいいのではないか--彼らは
そんなことを思い付きました。
 これを可能にする斬新な会計処理が「減価償却」です。

減価償却を持ち込むことによって、一時的にキャッシュがでていっても、会計の収支上は、一部の費用しか計上しないので、利益が残るようになる。

これは、株主に安定的に配当を払うには利益がでていなくてはならないので巨大な資産になる設備の見た目の支出を減らして平準化する機能をもたらした。

会計について

 ちなみに会計のことを英語でAccountingといいますが、これはもともとAccount for
=「説明する」からきています。バランスシートの右側に出資してくれた株主らに対
して、儲かったかどうかの結果を説明するのが会計というわけです。
 ただ、決算書が正しく作成されていないと説明にはなりません。まちがいや粉飾し
た結果しか説明されないのであれば、資金提供者は安心して金を出せません。
 ここで正しく決算が行われたかをチェックするのが監査なのです。監査のことを英
語でAuditといいますが、これはラテン語のAudir=「聞く」から派生した言葉です。監
査(Audit)はオーディオ(Audio)と同じく「聞く」という意味です。
 経営者は資金調達先に対して結果を「説明」し、それを会計士が監査で「聞く(=
チェックする)」という関係になります。

Accountingが何で会計なのかなと以前から不思議に思っていたのだが、そういうことだったのね。
納得。

AuditとAudioも似た単語だなと思っていたが、なるほど同じ語源だったんだ。
英語やヨーロッパ系の言語は、綴りが似ていると同じラテン語を起源にしているのね。

さて、会計の概念が世界に広まると標準化の流れになる。

世界で「ひとつ」の会計ルールが「国際会計基準」であるのはいいとして、元々
IAS(International Accounting Standards)だったものが発展してIFRS(International
Financial Reporting Standards)へと変わっています。
 このどちらも日本語で「国際会計基準」と訳されるので日本人は気が付きませんが、
以前の「A:Accounting=会計」から「R:Reporting=報告」へと言葉が変化してい
ることがわかります。
「会計」から「報告」へ--これは決してネーミングだけの問題ではありません。そ
の裏側にはかなり大きな変化があります。
 一番重要なのは、会計をめぐる「主人公の変化」です。
 中世イタリアで簿記がはじまってからオランダ東インド会社の時代まで、会計とい
えばその主人公は「自分」つまり経営者本人でした。会計は「自らの儲けを明らかに
する」ために存在していたのです。

 しかしイギリス産業革命で蒸気機関が登場したあたりから少しずつ変化が起こり
ます。
 ストレンジャー株主から大規模な資金調達を行う鉄道会社では、「株主のために」監
査を導入しつつ、しっかりした財務報告を行わねばなりません。
 続いてアメリカの大恐慌をキッカケに広義の「投資家保護」が掲げられると、CPA
による監査を含むディスクロージャー制度がつくられました。こうしてイギリスから
アメリカへ、しっかりした財務報告の伝統がつくられていったのです。
 最後にグローバル・インベスターが登場するようになると、投資家に役立つ情報を
提供することが会計の目的になっていきました。ここにおいて主
人公は自分ではなく、情報を受け取る投資家になっていたのです。

投資家へ説明することが、主になってくると、資産は原価主義から時価主義に代わり、今、この会社を解散したら、この資産はいくらで売却できるかで評価するようになってきた。

さらに進むと、帳簿に書かれていない資産、つまり、人材だったり、特許や商標などの権利だったり物としては表せられないようなモノまでを評価してM&Aが行われるようになってきている。

一方で、会社の内部を見ると、組織が大きくなると、どの事業が儲かっていて、どの事業がそうでもないのかを計る必要がでてきた。それが管理会計となって、企業内部の指標をつくる単位を事業部として組織している。日本で事業部と名前のつく組織を持つ会社は、この事業部単位での採算の善し悪しを評価する仕組みができている。

株式会社の株を買って投資するのであれば、会計の仕組みを理解していると決算書が読めて、この会社の将来が大丈夫なのかを見極める助けになる。会計の歴史を踏まえながら解説している本書は読んでおいて損はないだろう。







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この記事へのコメント

2019年10月26日 00:22
こんばんは

会計の世界史ですか。。。
うーん。。。財務会計はできた方がいいですよね〜。
でも数字は苦手やぁ。