『リーダーは半歩前を歩け ――金大中というヒント』

『リーダーは半歩前を歩け ――金大中というヒント』 姜 尚中 集英社新書
リーダーシップ論は、リーダーが書くものとは限らないという。

姜氏は、自らはリーダーではない、だから客観的にリーダーを見ていけるので、リーダーシップ論を書けたという。

この本でのリーダーあ金大中元大統領である。

 では、この章の主題であり、また、この本の最大のテーマである「半歩前」というこ
とについて述べましょう。
「リーダーシップ」というのはビジネス書的なテーマであり、私の専門からすると、や
や畑の違う試みです。にもかかわらず、このテーマについて考えることになったいちば
んのきっかけは、敬愛するアジアのリーダー、金大中元大統領にお目にかかったことで
した。
 金氏との対談は2009年の春に実現したのですが、そのときにもっとも印象に残っ
た言葉は、「私は民衆の半歩前を歩く」という一言でした。
 一歩ではなく、半歩。ましてや十歩ではない。そこが、金氏のリーダーシップのミソ
です。
 十歩前を行く人というのは、ドン・キホーテのような夢想家か、あるいは先に触れた
ような革命家や独裁者でしょう。もちろん、ズンズン先へ行くことで成功するケースも
ありますが、多くの場合は急進的すぎて挫折しがちです。
 これに対して、金氏は「半歩」と言ったのです。ぜったいに国民の手を離さず、国民
がついてこれなければ、「半歩」下がって彼らの中に入り、わかってもらえるまで説得し
て、同意が得られたら、また「半歩」先を行く、と。
 それを聞いて私は、「現代」という難しい時代にふさわしいリーダーシップは、これ
ではないかと、たいへん感心したのです。

リーダーは、フォロワーがいてこそリーダーであり、フォロワーがついてこれないほど先に行ってしまうことのないように常に後ろを気にしていた。

姜氏は、リーダーシップには七つのリーダー・パワーがあるという。

 リーダーの力の一つ目は「先見力」だ--と言うと、ちょっと唐突な感じがするかも
しれませんが、そんな文脈で考えてください。人は、無意識のうちにも、自分の行動に
何らかの意味を見出しています。だから行動できるのです。逆に言うと、意味のない仕
事に情熱を注ぐことなど、本来的にできるはずがないのです。
 ですから、リーダーたるものは、自分たちの活動にどのような意味があり、自分たち
の組織にどのような意味があり、そこでの自分たちの仕事の一つ一つにどのような意味
があるのか、明確に意味づけできないといけません。すなわち、「ビジョン」を示せな
ければならないのです。この意味で、意味を付与する力は先見力と言えるのです。

所属する共同体に対する使命感に結び付けていなければならないとも言います。

その2は「目標設定力」
その3は「動員力」
その4は「コミュニケーション力」
その5は「マネジメント力」
その6は「判断力」
そして、その7は「決断力」と続く。

本書、後半には金氏との対談が収録されている。

金氏が、獄中や軟禁状態で沢山の本を読んだことについて尋ねると

そうですね。トインビーの著作や、プラトンの『国家』のようなものですね。書物
から得た知識に助けられたことは、少なくありません。先人たちが積み重ねてきた歴史
には、学ぶことがたくさんあるのです。
 ちなみに、私は世界の名作小説と呼ばれるものは、ほとんど読んだのですよ。何百年
も生きつづけてきた書物には、やはり、消滅しないで残っただけの価値があります。お
そらくそこには人間の霊魂から出てきたような、不滅の声のようなものがあるのでしょ
うね。だから、百年前のものでも二百年前のものでも、いまの人の心に響くのです。そ
うしたものを読むことは、読む者の精神を豊かにします。また、問題意識を正しく持つ
ためにもよいです。できるだけ偏らない歴史観を持つためにも、読書経験の豊かさは大
事です。
 多少抽象的な言い方になりますが、「歴史と勝負する」ということが、自分が何か決
断をするときの、一つの基準になってきた側面もあります。多くの人は、大きな決断を
するとき、歴史と勝負するのではなく、現在と勝負します。目の前にある現実の利益を
重要視します。でも私は、せっぱつまって決断を迫られたときも、現実の利益よりも、
後々自分が歴史にどう評価されるかということのほうを考えてきました。

歴史と勝負する。

すごい表現である。

偉大なリーダーだからこそ、歴史に残る正しい決断をするということなのでしょう。

さらに革命については

先ほどもあなたが名前をお出しになったトインビーの『歴史の研究』を読んで、多
くを学んだと思います。
 歴史を見てごらんなさい。やはり相手に対して寛大な国が栄えていますよ。たとえば
ペルシア帝国やオスマン帝国などがそうです。彼らは土地の宗教を尊重しましたし、あ
る程度の地方自治も認めました。ローマ帝国もそうですね。彼らも植民地に対して、あ
る程度、宗教の自由や市民権を与えました。あの時代のローマ市民権はたいへんな特権
だったのですが、たとえばキリスト教徒のパウロは、ユダヤ人でありながら市民権を持
っていたのですよ。そのように寛大だったから、ローマ帝国はあれほど栄えたのです。
 これに対して、ドイツのヒトラーや日本の軍国主義は、相手に対してまったく寛大で
はありませんでした。だから、悲惨な最期を迎えたのです。人も国も、寛大な態度が重
要です。「対話」で解決すること。「力」で解決しないこと。この二つが、人類が平和的
に共存していくための道だと、私は信じています。

力では、解決しないし、力では長続きしない。

歴史のパワーバランスがそう教えてくれるという。

何年に、何があった。その時の登場人物がだれ。くらいしか習わない歴史教育では何も役に立たない。そこに登場する人物は、何故その選択をしたのか、その選択以外に道はなかったのか、より深く知ること、それが歴史に学ぶことになる。
日本の歴史教育に抜けているところ。ものごとの背景を深く理解すること。

歴史は繰り返すともいう。
結局人間の選択は、何千年経ってもそんなに変わっていないということか。






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この記事へのコメント

2020年07月18日 10:38
こんにちは

客観的に見る意見もとても大切ですね。
面白そうな本ですね。